今回作ったもの
3つの機能を最小構成で
第1回のリストを、そのまま作れる形に落としました。
- 提出前セルフチェック(会員は無料) ─ 創業計画書の8項目それぞれについて、いまのツール入力でどこまで書ける状態かを点検し、足りない項目は埋めに行く場所へ案内する
- たたき台の生成(融資サポート) ─ ツールの入力・基本情報・数字・検証記録から、様式8項目の草案をAIが書き起こす。様式へ転記して仕上げる前提の下書き
- 生成履歴 ─ 草案を日付つきで残す。計画を直して生成し直せば、計画の変化が履歴として追える(更新レビューの土台)
「継続的に支えます」というあいまいな約束が、画面のある機能になりました。 なお、更新レビューの本格版(前回の草案との比較)は今回作っていません。最小構成で出し、必要かどうかは使われ方を見て決めます。
作りながら決めたこと
一番大事な仕様は「書かせないこと」
たたき台の生成で最初に決めた仕様は、何を書かせるかではなく、何を書かせないかでした。 AIは、空欄をそれらしい言葉で埋めるのが得意です。しかし創業計画書は金融機関の審査担当者が読む文書で、 盛られた計画書は面談で必ず崩れます。
- あなたが入力したデータに無い事実・数値は書かない
- データが足りない箇所は、埋めたふりをせず「(要記入)」と明示する
- 数字に矛盾があれば、勝手に直さず「※要確認」として指摘する
つまりこの機能は「あなたの代わりに書くAI」ではなく、「あなたが書いたことを様式の形に整えるAI」です。 書く力が自分に残る──第2回で決めた立ち位置(代行の代わりではなく、自分で書き上げる人の道具)を、そのまま仕様にしました。
セルフチェックを無料にした理由
3つの機能のうち、提出前セルフチェックだけは会員なら誰でも・何度でも無料にしました。理由は2つあります。
1つ目は、原価がかからないから。セルフチェックはAIを使わず、決めたルールで手元のデータを点検するだけなので、 何度使われても費用が増えません(第2回で確認した「コストの床がゼロ」の活かし方です)。
2つ目は、有料版の試食になるから。チェックで「ここが足りない」と分かった人にとって、 たたき台の生成は続きの一歩になります。事前登録(第3回)を判断する材料としても、 言葉で説明するより、触れる機能のほうが正直です。
「新しく作らない」を先に決める
今回、ゼロから作った部品はほとんどありません。分析ツールの入力データ、事業計画ドラフト、AIコンサルの呼び出し部分── すでにある部品の組み合わせで、3つの機能が成立しました。
これは偶然ではなく、順番の産物です。「読者が書き込んだ分析が、計画書づくりの資産としてたまっていく」という設計を先にしていたから、 仕上げの機能は資産の出口を作るだけで済みました。 逆に言えば、もし機能を思いつきで足していたら、出口のたびに入口から作り直していたはずです。
順番の話と、あなたへの転用
「検証が先」と矛盾しないのか
第3回で「作り込む前に確かめる」と書いた直後に、機能を作った回です。矛盾に見えるかもしれないので、判断を正直に書いておきます。
検証で確かめたいのは「この価格で並ぶ人がいるか」という需要の前提で、その計測(事前登録の数字)はサイトの本番公開後にしか動きません。 一方、今回の作り込みは既存部品の組み合わせで、かかったのは私の工数だけ。つまり検証待ちで止まるコストと、先に作る場合の損失を比べて、後者が小さいと判断しました。 これが数百万円の開発なら、迷わず検証を待ちます。「検証が先」は目的ではなく、失敗コストを小さくする手段だからです。
あなたの事業への転用
今回の判断は、3つの問いに言い換えられます。
- あなたの商品から、原価ゼロで切り出せる「試食」はないか(それが一番正直な宣伝になります)
- 外部の道具(AI・既製品)に任せる部分と、任せてはいけない部分の線をどこに引くか
- いま作ろうとしているものは、止まって検証を待つコストと、先に作る損失のどちらが大きいか
