助成金とは

助成金は、雇用の安定や人材育成の促進を目的として、国が事業主に支給するお金です。財源は事業主が支払う雇用保険料であるため、雇用保険の適用事業所の事業主であれば、一部の業種を除き、活用のチャンスがあります。雇用保険の適用事業所とは、従業員を雇って、雇用保険の手続きをしている事業所のことです。

「従業員を新しく雇う」「非正規社員(パートや契約社員など、正社員ではない働き方の人)を正社員にする」「研修を行う」「職場環境を改善する」など、雇用に関する取り組みが支給の対象になります。返済は不要です。

たとえば、このサイトで共通の例にしている〇〇整体院(〇〇駅の近くで、仕事帰りの会社員向けに平日21時まで開いている整体院)は、院長1人の1年目は当てはまりませんが、2年目の後半に受付のパートを雇うときから関わります。まだ人を雇っていなくても、雇う前から労働局やハローワークに相談できます。

補助金との違い

助成金とよく混同されるのが補助金です。大きな違いは、助成金は要件を満たせば受給できる可能性が高いのに対し、補助金は審査があり、申請しても採択されない(選ばれない)場合があることです。

助成金 補助金
管轄 主に厚生労働省、地方自治体 主に経済産業省、地方自治体
目的 雇用の安定・人材育成 事業の成長・産業振興
受給の可否 要件を満たせば、原則受給できるものが多い(予算の都合で受付を締め切ることもある) 審査があり、採択されない場合がある
申請場所 労働局やハローワーク(電子申請や郵送もできる) 各補助金の事務局(電子申請だけのものもある)
申請期間 通年(ただし、取り組みごとに申請の期限がある) 公募期間のみ(年に数回)
支払時期 後払い 後払い

販路開拓(新しいお客さんを増やすこと)や設備投資には補助金、雇用や人材育成には助成金、と覚えておくとわかりやすいでしょう。補助金については「補助金を活用する」で説明しています。

申請の流れ

助成金の多くは、次のような流れで申請します。制度ごとに詳細は異なりますが、多くは「取り組みを実施する前に計画を提出する」という順番です(トライアル雇用のように、始めてから2週間以内に計画を出すものもあります)。

助成金を受け取るまでの流れ(多くの助成金の場合)
  1. 使える助成金を探す

    厚生労働省のサイト、労働局、社労士など

  2. 計画を出す

    取り組む前に出すものが多い

  3. 取り組む

    雇う、正社員にする、研修をする

  4. 申請して、受け取る

    審査を経て支給(後払い)

雇う前・取り組む前に調べるのが鉄則です

使える助成金は、厚生労働省のサイトで探せるほか、労働局(都道府県ごとにある、厚生労働省の窓口)やハローワーク、社会保険労務士(社労士。労働と社会保険の手続きの専門家)に相談できます。計画を出してから、職場の決まり(就業規則など)を整え、雇用や訓練などに取り組みます。取り組みのあと、決められた期間がたってから支給を申請し、審査を経て支給されます。

相談の窓口で、院長が手帳にメモを取っている。机の向かいでは、眼鏡をかけた白髪の担当者が、チェック欄のある案内の紙を手で示しながら説明している
人を雇う前に、窓口で使える助成金を相談する院長(架空の例)

代表的な雇用関係助成金

起業前後に関わりやすい代表的な助成金を紹介します。助成金は主に毎年4月に改訂され、名称・要件・支給額が変わります(年度の途中に変わることもあります)。必ず厚生労働省の「事業主の方のための雇用関係助成金(新しいタブで開きます)」で、最新の情報を確かめてください。

キャリアアップ助成金

パート・アルバイト・契約社員などの非正規社員を、正社員に転換したり、処遇(給料などの待遇)を改善したりした場合に支給される助成金です。

「まずはパートで採用し、仕事ぶりを見て正社員に登用する」という小さな会社によくある採用の流れが、そのまま助成金の対象になり得ます。正社員に転換する前に、キャリアアップ計画を出し、就業規則に転換の制度を定めておく必要があります。就業規則は、働く時間や賃金など、職場の決まりを書いたものです。作って届け出る義務があるのは、常時10人以上の従業員を使う会社です(厚生労働省「モデル就業規則について(新しいタブで開きます)」)。小さな会社はまだ作っていないことも多いので、将来、正社員にすることを考えているなら、パートとして雇う前に(遅くとも転換を考え始めた時点で)、要件を確かめておきましょう。

人材開発支援助成金

従業員に職務に関連した研修や訓練を受けさせた場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が支給される助成金です。

ITスキルの研修など、計画的な人材育成を行う際に活用できます。「教育にかかるお金」を理由に育成をあきらめる前に、この助成金を検討してみてください。

トライアル雇用助成金

職業経験の不足などから就職が難しい求職者を、原則3か月間の試行雇用(トライアル雇用。試しに雇う期間)として受け入れた場合に支給される助成金です。

「いきなり正式採用するのは不安」という小さな会社にとって、お互いを見極める期間を持ちながら支援を受けられる制度です。ハローワークや職業紹介事業者などに「トライアル雇用求人」を出し、その紹介で雇うことが条件になるため、求人を出す前に相談しておきましょう。職業紹介事業者は、仕事を紹介する民間の会社などのことです。

申請で気をつけること

  • 雇用保険の適用事業所であることが前提(従業員を雇ったら雇用保険の手続きを忘れずに)
  • 実施「後」の申請はできないものが多い。雇う前・取り組む前に調べるのが鉄則
  • 出勤簿(働いた日と時間の記録)・賃金台帳(給料の記録)・雇用契約書(働く条件を取り決めた書類)などの労務管理書類がそろっていないと支給されない
  • 残業代の未払いなど労働関係法令の違反があると受給できない
  • 支給までに時間がかかるため、当面の資金繰りは別途確保しておく

助成金の申請は、書類の整備が肝心です。自社だけで難しい場合は、助成金申請の専門家である社会保険労務士(社労士)に相談するのも有効です。ただし、頼んだ社労士や従業員が不正をしても、事業主の不正受給になり、5年間受給できなくなります。「助成金の申請を代わりにします」という勧誘にも注意しましょう(厚生労働省も注意を呼びかけています)。

また、計画を立てて取り組んだ記録は、金融機関に事業を説明するときにも役立ちます。

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