月額料金を3方式と数値計画で検討している場面のイメージ

今回の論点

決めるのは2つの月額

このサイトの有料部分は二段構えです。値段を決めるのは次の2つ。

  • プレミアム(月額) ─ AIコンサル。入力した分析から計画書のたたき台づくりと磨き込みを支援する
  • 融資サポート(月額) ─ 日本政策金融公庫への申請を想定した継続サポート。プレミアムの機能を含む上位プラン

二段にしたのは、入口は軽く、目的がはっきりした人だけが深く進める形にしたいからです。 講座第5回で紹介した「松竹梅」の考え方の、二段版だと思ってください。

3方式を実際に当てはめる

下限 ─ コストの床は当てにならなかった

まずコストから価格の床を出します。このサービスの変動費は、AIのAPI利用料(1回の診断で数円〜数十円)と決済手数料くらい。 固定費もサーバ代が月数千円です。つまり床はほとんど「ゼロ円」でした。

これは良い知らせに見えて、罠でもあります。原価を基準にすると際限なく安くできてしまい、値付けの根拠になりません。 コスト方式は「赤字にならない下限の確認」までにして、価格そのものは残りの2方式で決める──これが最初の学びでした。

相場 ─ 人の代行10万円、専用AIツール月3,000〜15,000円

読者が比較するであろう選択肢の価格を調べました。

  • 事業計画書の作成代行(行政書士・コンサルタント) ─ 10万円以上かける人が多い。融資コンサルには成功報酬型もある
  • 事業計画づくりの専用AIツール ─ 月額3,000〜15,000円程度
  • 汎用AI(ChatGPT等の有料プラン) ─ 月額2,000〜3,000円程度

このサービスの居場所は「専用ツール相場の下限帯」だと決めました。 人の代行の代わりではなく、自分で書き上げる人の道具という立ち位置(第4回の記入例)に合う棚だからです。

上限 ─ 読者が節約できる金額

価値方式の天井は「顧客がこれで節約・獲得できる金額」です。代行に頼めば10万円以上。 融資の準備期間を4ヶ月とすると、月4,980円なら合計約2万円──代行の5分の1で、しかも書く力が自分に残ります。 天井までは十分な余白があり、価値の説明もしやすい水準です。

数値計画で答え合わせをする

ファネルの仮説と基準シナリオ

価格の候補が絞れたら、その価格で事業として成り立つのかを数字で確かめます。 訪問から課金までの流れ(ファネル)に、段階ごとの仮説を置きました。すべて公開前の仮説であり、実測で置き換えていく前提の数字です。

段階 仮説(基準シナリオ)
月間の訪問者 10,000人(検索流入が育った想定)
会員登録率 1% → 新規会員100人/月
プレミアム転換率 5% → 5人/月(フリーミアムの相場は2〜5%)
融資サポートへの引き上げ 3割 → 1.5人/月
平均継続 4ヶ月(融資準備の期間に対応)
月商の見込み 約5万円

発見 ─ 売上を決めるのは価格ではなかった

この表を価格を変えて何度か回すと、はっきり分かることがあります。 価格を500円上げ下げしても月商は15%ほどしか動きません。ところが訪問者が3倍になると、段階の掛け算が効いて月商は約8倍になります。

つまり、この事業の売上を決める支配的な変数は、価格ではなく「何人に届くか×何人が登録するか」でした。 値付けで消耗するより、需要を殺さない価格に決めて、記事と導線の改善に力を注ぐべき──数値計画がそう教えてくれました。 あわせて、安すぎる価格にしない理由もここにあります。値上げは値下げよりずっと難しいのに、安くしても売上はたいして増えないのです。

決定と、あなたへの転用

決定 ─ プレミアム1,480円/融資サポート4,980円

結論です。

  • プレミアム(AIコンサル) ─ 月額1,480円。汎用AIより明確に安く、「まず試す」の障壁を最小にする
  • 融資サポート ─ 月額4,980円(プレミアム込み)。専用ツール相場の下限帯で、4ヶ月使っても代行の約5分の1

3ヶ月パックや年額などのバリエーションは、実際の利用データが取れてから検討します。最初から複雑にしないのも、値付けの設計のうちです。

あなたの事業への転用 ─ 値付けの前に数値計画

値段に迷ったら、先にファネルの表を1枚作ることをおすすめします。 訪問→検討→購入の各段階に仮説の数字を置き、価格を動かしたときと客数を動かしたときの効き方を比べてみてください。 多くの事業で、価格より「届く人数」のほうが支配的だと分かるはずです。だから、苦しいときの値下げは解決になりません。

3方式の使い方は講座第5回、数字の組み立ては事業計画書を作る(数値計画)で解説しています。