なぜペルソナを現場で確かめるのか
想像だけで描いたペルソナは、売り手に都合のよい人物になりがちです。悩みが浅いまま商品やホームページを作ると、かけた時間とお金がむだになります。
この記事では、開業1年目の整体院が描いた顧客、佐藤さん(デスクワークの肩こりがつらく、仕事帰りに通える整体を探している38歳の会社員)を例に、確かめ方を説明します。描き方は「ペルソナの作り方」にあります。
誰に、何人くらい話を聞くか
大切なのは、話を聞く相手の選び方です。年齢や職業が近いだけでなく、想定した「困っている場面」に実際にいる人を選びます。整体院なら、「38歳でデスクワークの会社員」というだけで選ぶのではなく、佐藤さんのように、仕事帰りに通える店を探したことがある人を選びます。場面に当てはまらない人に何人聞いても、悩みの深さは確かめられません。
人数は5〜10人ほどが目安ですが、まずは想定に近い知人3人ほどから始め、手応えを見ながら広げれば十分です。開業前で顧客がいなくても、これまでの取引先や地域の集まり、同業のつながりをたどれば、話を聞ける人は見つかります。
売り込まずに、過去と今の事実を聞く
聞き取りでいちばん避けたいのは、「こういう商品があったら買いますか」と売り込むことです。人は面と向かって聞かれると、気をつかって「いいですね」と答えがちです。聞き方を変えると、返ってくる答えと、わかることが変わります。
悪い例: 未来を聞く(売り込み)
質問「夜20時以降も通える整体院を開くんですが、通いたいと思いますか?」
返ってくる答え「いいですね。通いたいです」
わかること気をつかった返事かもしれず、本当に通うかはわからない
よい例: 過去と今を聞く
質問「肩こりがつらいときは、今どうやってしのいでいますか? 先月は何回くらいお店に行きましたか?」
返ってくる答え「湿布を貼って、月に1〜2回、休日にもみほぐしの店へ行きます。でも、すぐ元に戻ります」
わかること時間とお金をかけてしのいでいる。悩みは本物で、今のやり方に不満もある
架空の例です(答えているのは、佐藤さんのような人です)。
商品の話をやめ、困った場面と、今どうしているかを聞くのがこつです。本当に困っている人は、あなたの商品に出会う前から、時間やお金を使ってしのいでいます。反対に、口では困っていると言っても何もしていないなら、その悩みの優先度は低いかもしれません。
現場で聞く4つの質問
佐藤さんのような人に聞くときの、4つの質問です。この順に聞くと、困った場面から、今のやり方への不満までをたどれます。
-
直近で困った、具体的な場面を聞く
「ここ1か月で、肩こりがいちばんつらかったのは、いつ、どんな場面でしたか」と尋ねます。実際の出来事を、順にたどってもらいます。
-
今どうやって対処しているかを聞く
「そのときは、どうやってしのぎましたか」と聞き、実際にとった行動を引き出します。
-
かけている時間やお金を聞く
「それに、どれくらいの時間やお金を使っていますか」と、回数や金額で確かめます。毎月お金を払っているとわかれば、解決にお金を払う習慣があると判断できます。
-
今のやり方で、がまんしていることを聞く
「今のやり方で、不満なことや、あきらめていることはありますか」と聞き、満たされていない本音を探ります。
結果を記録し、続けるか直すかを決める
聞き取りが終わったら、感想ではなく、いつ困り、どう対処し、いくら使っているかという事実を記録します。数人分がたまったら、次の3つの目安で、今のペルソナで続けるか、直すかを決めます。
| 確かめる視点 | 判断の目安と、次の動き |
|---|---|
| 悩みの強さ | すでに時間やお金をかけて自分で対処していれば、悩みは深いといえます。何もしていない人が多ければ、解く困りごとを見直します。 |
| 共通しているか | 何人もが同じ場面で困っていれば、広がりが期待できます。1人だけの特別な事情なら、誰に売るか(相手と場面)を見直します。 |
| 想定とのずれ | 本当に困っていたのが、想定と違う人や場面だった場合は、現場の事実にペルソナを合わせます。 |
「悩みが浅かった」「想定とずれていた」とわかっても、失敗ではありません。店を借りたり広告費を使ったりする前に気づけたのは、大きな前進です。誰に売るか、どんな場面か、どの困りごとを解くかを書き直し、もう一度小さく確かめましょう。
書き出してみよう
聞き取りは、4つの質問の答えと、書き留めた言葉の5つで、1人ごとに記録します。佐藤さんのような人に聞いた記録は、たとえば次のようになります。
