ペルソナは「困っている場面」から描く
「30代・会社員」のように属性を並べても、その人が買うかどうかはわかりません。同じ属性でも、暮らし方や悩みは人それぞれだからです。
そこで、顧客が実際に「困っている場面」から描きます。何がきっかけで悩み、今どうやってしのいでいるのか。場面が具体的になるほど、この人のために何を用意し、どんな言葉で伝えるかがはっきりします。考え方は「ペルソナとは? 小さな会社が「1人」に絞る理由」で説明しています。
ペルソナを作る5つの手順
思い込みの人物像にならないように、次の5つの手順で、順番に作っていきます。手順1で声を集め、手順2〜4を1枚のシートに書き、手順5で確かめて直します。
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顧客の声を集める
悩みと質問のメモ、口コミ、聞き取り
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共通する場面を探す
困っている場面を、課題の1文に
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1人の人物として描く
仕事、暮らし、情報との接点
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使う言葉を書き出す
検索語と、AI への質問
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現場で確かめて直す
今どうしているかを聞く
手順2〜4は、1枚のシート(紙やノート)に書きます
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今いる顧客と、会いたい顧客の情報を集める
頭の中だけで考えず、実際の顧客や見込み客についての事実を集めます。すでに顧客がいるなら、よく買ってくれる人や、喜んでくれた人を思い出しましょう。
- 顧客や相談者から聞いた、悩みと質問のメモ
- 同業の店のサイトや、地図アプリの口コミ
- 顧客に近い知人や取引先への聞き取り
開業前で知り合いがいなくても、地図アプリの口コミや SNS の投稿から、生の声を集められます。聞き取りの質問の例は「ペルソナを現場で確かめる」にあります。
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共通する「困っている場面」を探す
集めた情報から、何人もが共通して困っている場面を探します。ここから手順4までを、1枚のシート(紙やノート)に書きます。困っている場面(きっかけも)、本当に欲しいもの(表向きの要望の奥の本音)、今の対処法を書き、次の型で「課題の1文」にまとめます。
集めた声から、何人もに共通する場面を探します(架空の例) -
1人の人物として描く
場面が見えたら、その悩みを抱える代表的な1人にまとめます。年齢や仕事などの基本情報に加えて、何を大切にして選ぶかという価値観、ふだんの過ごし方、どこで情報を集めるかまで書きます。書き方は、5つの手順のあとの記入例を見てください。
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悩みと、その人が使う言葉を書き出す
売り手の専門用語ではなく、顧客がふだん使う言葉のまま書き出します。この言葉が、サイトの見出しや、検索と AI で狙う言葉のもとになります。
- 解決策を探すときに、スマホで検索しそうな言葉(検索語)
- 選ぶ前に不安で、AI や人に聞きそうなこと(AI への質問)
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現場で確かめて直す
シートが埋まっても、書いた内容はまだ仮の案です。顧客に近い人に会い、商品を売り込まずに「今どうしているか」を聞きましょう。時間やお金をかけて対処している人が何人もいれば、悩みは本物です。ずれていれば、ペルソナを直します。聞き方は「ペルソナを現場で確かめる」で説明しています。
記入例: 開業1年目の整体院が描いたペルソナ
〇〇駅から歩いて3分、院長1人で開いた予約制の整体院(平日21時まで受付)の例です。肩こりで夜に眠れず、仕事帰りに通える店を探している、38歳の会社員を描いています。
記入例開業1年目の整体院が描いた顧客
肩こりで眠れず、仕事帰りに通える整体を探す会社員
佐藤 美穂さん(仮名)・38歳
課題の1文
1日中パソコンに向かう会社員が肩こりで夜に眠れない日に仕事帰りの20時以降に通える整体がなくて困っている
手順2状況 ─ 困っている場面
- 困っている場面
- 月末は1日中パソコンに向かい、会社を出るのは20時ごろ。駅の近くの整体は、もう閉まっている。帰って布団に入っても肩と首が重く、夜中まで眠れない。
- 本当に欲しいもの
- 休日をつぶさずに体を整えて、朝までぐっすり眠りたい
- 今の対処法
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- 市販の湿布を貼って、しのいでいる
- 月に1〜2回、休日にもみほぐしの店へ行く
- 整形外科では「異常なし」と言われた
手順3人物像 ─ どんな人か
- 仕事
- 地元の会社の経理事務
- 住まい
- 〇〇駅から電車で2駅の賃貸マンション
- 家族
- 夫と2人暮らし
- 価値観・性格
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- 多少の不調は、がまんしがち
- 強い勧誘が苦手。納得してから通いたい
- ふだんの行動
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- 平日は9時〜19時半。月末は20時ごろまで残業
- 初めての店は、口コミと料金を見てから予約する
- 情報との接点
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- 帰りの電車で、地図アプリの口コミを見る
- 眠れない夜に、スマホで検索したり AI に聞いたりする
手順4この人が使う言葉
- 〇〇駅 整体 20時以降
- 〇〇駅 整体 夜遅くまで
- 肩こり 夜 眠れない
- 整体 もみほぐし 違い
AI への質問デスクワークの肩こりで、夜に眠れません。もみほぐしでは、すぐ元に戻ります。整体と整形外科、どちらに行けばいいですか?
「場面」の書き方: よい例と悪い例
困っている場面まで書いたよい例と、属性を並べただけの悪い例を比べてみましょう。
例1 整体院(個人のお客さま)
よい例
デスクワークの肩こりで夜に眠れず、仕事帰りの20時以降に通える整体を探している
悪い例
30代・女性・会社員
よい例からは、悩みの深さと通える時間がわかり、伝え方が決まります。
例2 受注の仕組みを売る会社(会社のお客さま)
よい例
繁忙期に電話と FAX の注文が重なり、手書き伝票の転記ミスと残業に追われている、食品メーカーの事務の責任者
悪い例
従業員30人ほどの食品メーカー。通販もしている
よい例からは、繁忙期の具体的な困りごとが見え、提案する仕組みと、声をかける時期が絞れます。
著者の実例: 最初に描いた顧客
著者が、会社に売る事業(B2B)で起業した当時に描いた顧客です(「3C分析」の記事の著者の実例から)。会社に売る事業では、まず「どんな会社が、どんな現状で困っているか」を整理し、そこから担当者1人の場面(上の「よい例と悪い例」の例2)へ掘り下げます。文中の「B2C」は個人に売る事業、「セグメント化」は似た顧客の集まりに分けること、「EC」はネット通販のことです。
この顧客をもとに競合と自社を分析した続きは、「3C分析」の事例にあります。
書き出してみよう
- 幅広い層ではなく、1人の人物になっている
- 年齢や職業だけでなく、「困っている場面」を書いた
- その悩みへの「今の対処法」を書いた
- 売り手の専門用語ではなく、顧客が使う言葉で書いた
- 想像だけでなく、実際の顧客や見込み客の声をもとにした
