決算書とは
決算書とは、会社の1年間の経営成績と、決算日時点の財産の状態をまとめた書類のことです。「財務諸表」や「計算書類」とも呼ばれます(法律によって、呼び方と含まれる書類が少し違います)。経営を見るときに中心になるのは次の3枚で、あわせて「財務三表」といいます。
損益計算書P/L
1年間でいくら売り上げ、いくら使い、いくら儲かったか。経営の成績表。たとえるなら、1年間の動画
第2回でくわしく
貸借対照表B/S
決算日の時点で、会社に何がどれだけあるか。財産の一覧表。たとえるなら、決算日の写真
第3回でくわしく
キャッシュフロー
1年間のお金の出入り。お金の流れの記録。たとえるなら、お金の家計簿
第4回でくわしく
3枚のつながり
損益計算書の最後の行「当期純利益」(税金なども引いた、1年間の最後の儲け)は、貸借対照表の「純資産」(集めたお金のうち、返さなくてよい分)に毎年積み上がる。損益計算書が黒字でも、お金の動きは別。そのズレを追いかけるのがキャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書の作成は上場企業の義務であり、中小企業では任意です。そのため小さな会社の場合、実際に手元にあるのは損益計算書と貸借対照表の2枚、ということがほとんどです。
例: 開業1年目の〇〇整体院の決算書
この講座では毎回、このサイトで共通の例「開業1年目の〇〇整体院」(仕事帰りの会社員向けに平日21時まで開いている、院長1人の整体院)の決算書を読みます。株式会社として開いたとします。
開業のときは、院長の自己資金120万円を資本金(会社を作るときに出した元手)にし、日本政策金融公庫から240万円を借りました。
1年目の決算書の、主な数字は次のとおりです。
| 書類 | 主な数字 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 損益計算書 | 売上高 540万円、当期純利益 −70万円 | 1年間の売上は540万円(計画は約562万円)。費用を引くと、70万円の赤字 |
| 貸借対照表 | 資産 249万円、負債 199万円、純資産 50万円 | 会社にあるもの(資産)は249万円。借りたお金など、いずれ返すもの(負債)が199万円。集めたお金のうち、返さなくてよい分(純資産)が50万円 |
| キャッシュフロー計算書 | なし | 作る義務がないので、作っていない |
2枚のつながりも見えます。1年目の赤字70万円の分だけ、純資産は、資本金の120万円から50万円に減りました。損益計算書の最後の行が貸借対照表の純資産に積み上がる(赤字なら減る)とは、このことです。
赤字の理由は第2回、純資産が減った意味は第3回、赤字でも店を続けられている理由は第4回で確かめます(数字はすべて架空。わかりやすくするため、消費税は入れていません)。
なぜ経営者が読めるべきなのか
「決算書は税理士が作ってくれるもの」──その通りです。しかし「作ること」と「読むこと」は別の話です。読めないままだと、次のような場面で困ります。
- 融資の面談で説明できない ─ 金融機関がまず見るのは決算書。内容を自分の言葉で語れない経営者は信頼されません
- 値付けや経費の判断が勘になる ─ 粗利(売上から、売った商品やサービスに直接かかった費用を引いた儲け)や固定費(家賃のように、売上に関係なく毎月かかる費用)を知らないまま、価格や支出を決めることになります
- 危険信号に気づけない ─ 債務超過(いずれ返すものが、会社にあるものより多い状態。第3回)や資金繰り(お金のやりくり)の悪化は、倒産より先に決算書へ表れます
- 補助金・取引の審査でも使う ─ 補助金の申請や、新しい取引先からの与信審査(取引しても代金をきちんと払ってもらえるかの審査)でも決算書の提出を求められます
読めるようになるのに、新しく何かを買う必要も、資格を取る必要もありません。手元にある書類の見方を知るだけです。
簿記の知識は要らない
決算書と聞くと「まず簿記を勉強しないと」と身構えるかもしれませんが、その必要はありません。決算書を「作る」技術が簿記であり、「読む」技術とは別物です。この講座に、仕訳(取引を帳簿に書く作業)や勘定科目(「売上」「家賃」などの項目の名前)の暗記は出てきません。
著者の実例: 決算書が「読める書類」になるまで
ここからは、著者の実例です。著者も創業期は、決算書を読めていませんでした。文中の「B2B」は、会社に売る事業のことです。
