貸借対照表とは

貸借対照表とは、決算日という「ある1日」の時点で、会社に何がどれだけあるかを一覧にした書類です。英語の Balance Sheet を略して「B/S(ビーエス)」と呼ばれます。損益計算書が「1年間の動画」なら、貸借対照表は「決算日の写真」です。

表は左右に分かれています。右側は「お金をどうやって集めたか」(負債・純資産)、左側は「集めたお金を何に使っているか」(資産)。同じお金を出どころと使いみちの両面から見ているだけなので、左右の合計は必ず一致します。

釣り合った天秤の横で、院長があごに手を当ててほほえんでいる。左の皿には小さな施術ベッドと硬貨と鍵、右の皿には紺と青緑の2つの箱が載っている
左の皿は店にあるもの(資産)、右の皿は借りたお金(負債)と自分のお金(純資産)。左右はいつも釣り合います(架空の例)

3つのブロックで読む

細かい科目に入る前に、まず3つのブロックで全体を眺めるのが読み方の基本です。

貸借対照表の3つのブロック
ブロック位置中身
資産左側現金・預金、売掛金(売ったが、まだ受け取っていない代金)、在庫、設備など「会社にあるもの」
負債右側の上買掛金(仕入れたが、まだ払っていない代金)、借入金など「いずれ返す・支払うお金」(他人のお金)
純資産右側の下資本金(会社を作るときに出した元手)と、これまでの利益の蓄積(利益剰余金)。返さなくてよい自分のお金

全体を3ブロックでつかんでから、気になる項目(現金・預金はいくらあるか、借入金はいくら残っているか)へ降りていきましょう。

例: 〇〇整体院の1年目の決算日

このサイトで共通の例「開業1年目の〇〇整体院」(院長1人の小さな株式会社。1年目は売上が計画に届かず、赤字)で見てみましょう。実際の貸借対照表は左右に並びますが、ここではお金の流れがわかるように、出どころ(右側)から使いみち(左側)へ、上から下に並べます。

〇〇整体院の1年目の貸借対照表(単位は万円。架空の例)

右側: お金をどうやって集めたか(合計249)

  • 負債 199(右側の上)

    借入金 192(うち1年以内に返す分 48)、まだ払っていない税金 7

  • 純資産 50(右側の下)

    資本金 120、利益剰余金 −70(1年目の赤字)

集めたお金を、何に使っているか

左側: 資産 249

  • 現金・預金49
  • 売掛金10(カードやスマホ決済の、まだ入金されていない売上)
  • 設備160(内装と施術ベッドなど)
  • 保証金など30(店を借りるときに預けたお金)

左右の合計は同じ: 資産249 = 負債199 + 純資産50

開業の日は、資本金120万円と借入金240万円の360万円を集め、内装と施術ベッドに180万円、保証金などに30万円(あわせて設備資金の210万円)を使い、150万円が手元に残っていました。決算日には、設備は1年分の減価償却費(設備の代金を何年かに分けて費用にした分)20万円を引いた160万円に、借入金は48万円返して192万円になっています。まだ払っていない税金7万円は、1年目の分で、決算のあとに払います。現金・預金が150万円から49万円に減った理由は、第4回で確かめます。

図の項目の名前は、わかりやすい言葉にしています。実際の決算書では「未払法人税等」「差入保証金」のような名前で載っています。

自己資本比率と債務超過

会社の安全性をひと目で測る代表的な指標が「自己資本比率」です。

  • 高いほど倒産しにくい ─ 借金への依存が小さく、売上の落ち込みに耐えやすい体質です
  • マイナスは危険信号 ─ 純資産がマイナス(負債が資産を上回る)状態を「債務超過」といい、新規の融資は極めて難しくなります
  • 現金・預金の残高も確認 ─ 月商の何か月分あるか。手元資金の厚みは、そのまま会社の耐久力です

〇〇整体院の自己資本比率は、50 ÷ 249 = 0.20…で、約20%です。開業の日は資本金の120万円が純資産のすべてでしたが、1年目の赤字で50万円に減りました。もう1年、同じ70万円の赤字が続くと、純資産は−20万円になり、債務超過です。2年目に黒字にできるかが、この整体院の分かれ目です。

現金・預金の49万円は、月商(1か月の売上。1年目の平均は45万円)の約1.1か月分です。院長の給料、家賃、返済などの1か月の支払い(約53万円)にも届きません。

貸借対照表は会社の歴史

純資産の中にある「利益剰余金」は、創業からの当期純利益の積み重ねです。毎年の損益計算書の最終行(当期純利益)が、ここに毎年蓄積されていきます。第1回の「3枚のつながり」は、この関係のことです。

損益計算書は1年ごとにリセットされますが、貸借対照表には創業からの経営のすべてが刻まれています。利益を出し続けてきた会社か、赤字を重ねてきた会社かが、1枚でわかってしまう。だからこそ金融機関は、貸借対照表を重視するのです。

著者の実例: 法人化したての小さな貸借対照表

ここからは、著者の実例です。個人事業として始め、翌年に会社にした(法人化した)ころの話です。文中の「現預金」は、現金・預金のことです。

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