コーポレートサイトとは
会社の名前で検索した人が、正式な名前、所在地、連絡先、代表者、事業の内容を確かめられるホームページ。それがコーポレートサイトです。
このサイトでは、Web サイトのことを、ふだんの言い方に合わせて「ホームページ」と呼びます。ホームページには、1つの商品やサービスを紹介するサービスサイトなどもあります。この記事では、起業して最初に作るコーポレートサイトを説明します。
ホームページの役目(トリプルメディア)
会社が情報を届ける場所は、3つに分けて考えられます。広告は知ってもらうため、SNS は共感してもらうため、自社のホームページは、くわしく理解してもらうための場所です。広告は止めれば届かなくなりますが、ホームページは費用を抑えて自分の手で育て続けられる、自社の財産になります。この3つの分け方をトリプルメディアと呼びます。
著者は、まずコーポレートサイトを作り、事業ごとにサービスサイトを立ち上げ、チラシやネットの広告でサービスサイトに人を集め、SNS で共感を得る、という順番をすすめています。
トリプルメディアの3つの分け方(言葉を知りたい人向け)
| 種類 | 例 | 目的 | 自社で思いどおりにできるか |
|---|---|---|---|
| オウンドメディア(自社のメディア) | 自社のホームページ、ブログ、店そのもの | 顧客の「理解」を得る | できる。費用を抑えられ、書いた中身が資産として積み上がる |
| ペイドメディア(お金を払うメディア) | ネットの広告、チラシ、新聞の広告、テレビ CM | 顧客の「認知」を得る | 費用をかければ、ある程度できる |
| アーンドメディア(評判を得るメディア) | SNS、口コミサイト | 顧客の「共感」を得る | できない |
作る順番は4つ
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目的を決める
実在する店だと確かめてもらう
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載せるページを決める
名刺代わりの7つの中身
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ドメインを決める
ホームページの住所
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CMS で自分で作る
自分で直し続けられる道具で
公開したら、Googleビジネスプロフィールにも URL を載せます
まず、誰に何を確かめてもらうか(目的)を決め、それに合わせて載せるページを決めます。次に、ホームページの住所にあたるドメインを決め、ホームページを作る道具(CMS)で、自分で作ります。公開したら、Googleビジネスプロフィール(Google の検索と地図に、店や会社の情報を無料で載せられる仕組み)にも、ホームページの URL を載せます。
手順1: 目的を決める
まず、ホームページを「誰に見てもらい、何を確かめてもらうか」を決めます。よくある目的は、次の4つです。
- 取引先や金融機関、行政などの関係者に、会社のことを確かめてもらう
- 働く人を集める
- 自社の商品やサービスを紹介する
- 問い合わせを増やす
起業したばかりなら、まず1つ目を目的にします。融資の相談や新しい取引の前に、相手が会社の名前で検索して、ホームページを見ることがあるからです。この記事も、この目的で作るホームページを説明します。
〇〇整体院なら、融資を相談する金融機関の担当者や、初めて来るお客さんに、「実在する、きちんとした店だ」と確かめてもらうことが目的です。
手順2: 載せるページを決める
最初は、名刺や会社案内のパンフレットのような、次の7つの中身で十分です。7つは、ページに分けても、トップページの中にまとめてもかまいません。トップページを入口にして、ほかのページへ、メニューから進めるようにします。事業が1つの店なら、このうちの「商品・サービスの紹介」「選ばれる理由」「お客様の声」「よくある質問」を、お客さんを集める中身としても育てていきます(書き方は「サービスサイトを作る」)。
| 中身(ページ) | 書くこと |
|---|---|
| トップページ | 誰の、どんな困りごとを、どう解決する会社かを、ひと言で |
| 商品・サービスの紹介 | 何を、いくらで提供するか |
| 選ばれる理由 | 顧客の困りごと、自社の強み、競合との違い |
| お客様の声 | 実際のお客さんの感想(名前を出すときは、許可を得る) |
| よくある質問 | よく聞かれる質問と、その答え |
| 代表者あいさつ | 自己紹介、起業のいきさつ、経営の考え(経営理念)、想い |
| 会社情報(店なら店の案内) | 正式な名前、所在地、電話番号、営業時間、地図 |
開業したばかりで「お客様の声」がまだないときは、集まってから足せばかまいません。店のない会社は、店の案内と地図の代わりに、会社の概要、対応できる地域、取引の流れを載せます。
なかでも「代表者あいさつ」と「選ばれる理由」は、よく読まれるページです。書くときのコツは、次の2つです。
- 代表者あいさつ: 専門の言葉を使わず、初めての人にもわかる言葉で書きます。読んだ人に共感してもらえるように、起業のいきさつと想いを、自分の言葉で書きます。
- 選ばれる理由: 「顧客の困りごと」「自社の強み」「競合との違い」の3つで書きます。お客さんが買うと、どんないいことがあるのかを、顧客の目線で書きます。この3つは、3C分析(顧客、競合、自社の3つを整理する方法)をしていれば、その結果がそのまま使えます。
ページに書く中身の土台は、会社の方針(経営戦略)と、事業ごとの作戦(事業戦略)です。まだ考えていなければ、先に「経営戦略を策定する」と「事業戦略を策定する」を読んでおきましょう。
手順3: ドメイン(ホームページの住所)を決める
ドメインは、インターネット上の住所です。ホームページの URL(アドレス)と、メールアドレスの「@」の後ろに使います。
ドメインは、ほかの人が使っていなければ、自由に決められます。空いているかは、ドメインを取るサービスやホームページを作るサービスの申し込みの画面で確かめられるので、候補を2〜3個考えておきます。決めるときは、次の3つを考えます。
- 会社やサービスの名前に近くする: 名前と同じなら覚えてもらいやすく、名前を広めることにも役立ちます。
- できるだけ短くする: 短いほうが覚えやすく、入力するときの打ち間違いも減ります。単語なら2〜3個まで(たとえば、町の名前と「seitai」)を目安にします。
- 末尾の種類を選ぶ: 末尾には「.com」「.jp」などがあります。主なものは、次の表のとおりです。
| 末尾 | 向いている使い方・取れる人 |
|---|---|
| .com | 商用のサービスや会社向け |
| .net | ネットワークに関するサービス向け |
| .biz | ビジネスや会社向け |
| .jp | 日本に住所があれば、個人でも会社でも、いくつでも取れる |
| .co.jp | 日本で登記している会社が、原則として1つだけ取れる。会社を作る6か月前から「仮登録」もできる(会社にしていない個人の店は取れない) |
.jp と .co.jp の取れる人は、.jp を管理している JPRS の説明によります。最近は「.tokyo」「.shop」のような新しい末尾も増えていますが、末尾に何を選んでも、そこに含まれる言葉で、検索が有利や不利になることはありません。Google も、次のように説明しています。
基本的に、新しい gTLD も他の gTLD(.com、.org など)と同じように処理されます。検索において、特定の TLD のキーワードが有利に働くことも不利に働くこともありません。
新しいトップレベル ドメイン(gTLD)に対する Google での取り扱いについて(新しいタブで開きます)(Google 検索セントラル ブログ、2015年)
つまり、末尾は、検索のためではなく、覚えやすさや、会社らしく見えるかで選んでかまいません。
ドメインを取ると、メールのサービスと組み合わせて、そのドメインのメールアドレスも作れます。名刺やホームページの連絡先が会社のドメインのアドレスなら、相手に会社のメールだと伝わります。ドメインの契約を続けている限り、メールのサービスを替えても、同じアドレスを使い続けられます。
手順4: CMS を使って、自分で作る
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、HTML(ページを作っている文字のデータ)などの専門の知識がなくても、画面で文字や写真を入れるだけで、ホームページを作り、直せる道具です。問い合わせのフォームなども、用意されたものを使えます。多くの人が CMS を選ぶのは、無料か安い料金で使えるからです。代表的なものは、大きく2つの種類に分かれます。
- ホームページを作るサービス(Jimdo〔ジンドゥー〕、Wix〔ウィックス〕など): ネットで申し込めば、すぐに画面で作り始められます。ホームページを置く場所(サーバー)も、サービスに含まれています。Jimdo の Free プランのように、無料で使えるプランがあるものもあります。まず早く1つ作りたい人に向いています。
- WordPress(ワードプレス): 無料のプログラムですが、自分で借りたサーバー(レンタルサーバー)に入れて使います。自由に作り込める分、最初の設定に手間がかかります。
日本でよく使われている WordPress は、プログラムが公開されていて(オープンソース)手を加えられるため、ホームページの制作会社にとって都合がよいことも、広まった理由の1つです。いちばん優れているから選ばれている、とは限りません。自分の知識や目的に合ったものを選びましょう。
選ぶときは、試せるものを実際にさわり、文字と写真を自分で直せるかを確かめてから決めます。公開したあとも、営業時間やお知らせを、自分で直し続けることになるからです。
著者の実例: CMS を自社で作った話
ここからは、著者の実例です。WordPress が広まる前は、「Movable Type」という CMS もよく使われていました。著者は、パソコンが苦手な人でも自分でホームページを直せるように、CMS を自社で作り、改善を続けてきました。文中の「請負」は、ほかの会社から注文を受けてシステムを作る仕事、「要件」は、求められる機能や条件のことです。
2008年に起業した際に、実際作成した資料などをもとに事例として公開しています。
読者が CMS を作る必要はありませんが、「見た目のまま直せるか」「難しい操作がいらないか」は、どの CMS を選ぶときも大事です。
