記入例は、隣の市の整体院で10年勤めた院長が、〇〇駅の近くに、仕事帰りの会社員が平日21時まで通える整体院を1人で開く前に作った計画です(架空の例)。院長の筋を短くまとめると、次の図になります。
-
顧客の困りごと
仕事帰りに通える整体がない
-
競合の弱み
近くの整体院は19時に閉まる
-
自社の強み
21時まで。同じ院長が姿勢から見る
-
届ける価値
休日をつぶさず、仕事帰りに整える
-
値段
1回60分 6,000円
前の文が、次の文の理由になっていれば、筋が通っています
これまでのシートを1枚に束ねる(シートA: まとめの表)
まず、第1〜6回のシートを手元に並べ、次の表に1行ずつ書き写します。空いている行があれば、その回に戻るサインです。この回から読み始めた人は、書ける行から埋め、詰まった行だけ、その回を読んでもかまいません。
| 回 | 束ねるもの | 確かめること |
|---|---|---|
| 第1回 | 動機と経験(会社員に「夜もやっている所はないか」と聞かれ続けた。10年の施術で、姿勢の見直しと体操を教えてきた) | 経験が、第3回の価値の裏づけになっているか |
| 第2回 | 顧客の困りごと(仕事帰りの20時以降に通える整体がない。3人に聞き、2人が同じ場面で困っていた) | 思い込みではなく、確かめた事実か |
| 第3回 | 届ける価値(休日をつぶさずに、仕事帰りに体を整えられる) | 第2回の困りごとに、正面から答えているか |
| 第4回 | 立ち位置と強み(20時以降も受け付け、毎回同じ院長が姿勢から見直す) | 競合の弱みと自社の強みが、かみ合っているか |
| 第5回 | 値段と受け取り方(1回60分 6,000円。1回ごとに受け取る) | 顧客が払える額と、価値の大きさが釣り合うか |
| 第6回 | 小さな試しの結果(4週間で12人が料金を払って受け、4人が次の予約をした) | 結果を受けて、前の行を直す必要はないか |
第3回で下書きしたビジネスモデルキャンバスに、各回の結果を置き直すと、抜けが見つけやすくなります(「ビジネスモデルキャンバス」)。
一本の筋が通っているか、通して読む(シートB: 筋の5つの文)
埋まっていることと、つながっていることは別です。次の5つを、それぞれ1〜2文で書き、声に出して読みます。途中で「なぜ?」と引っかかる所があれば、その手前にほころびがあります。
- 顧客の困りごと: 誰が、どんな場面で、何に困っているか
- 競合の弱み: 今ある選択肢では、なぜその困りごとが解けていないか
- 自社の強み: 自分だからこそ、その空白を埋められる理由
- 届ける価値: 結果として、顧客にどんな変化が起きるか
- 値段: その価値に、顧客が納得して払える値段になっているか
食い違いが見つかったら、文章でつなごうとせず、その回のシートまで戻って直します。前の回を直せば、後ろの行は自然に整います。
売上の計算に渡す(シートC: 数字の引き継ぎメモ)
筋が通ったら、計画の言葉の部分は完成です。次は数字の裏づけです。いきなり売上の表を作らず、まず売上を掛け算の材料に分けて書き出します(まだ大まかでかまいません)。店のない事業は、売り方に合わせて掛け算を変えます(月ごとの契約なら「月額 × 契約数」、ネットで売るなら「客単価 × 訪れる人の数 × 買う人の割合」など)。
- 客単価: 1回いくら払ってもらえるか(第5回の値段から)
- 客数: 1日(1か月)に何人か(第2回と第4回で絞った相手と、第6回の試しの手応えから)
- 日数・回数: 月に何日、何回売れるか
- 根拠: その数字を、なぜそう置けるのか(これまでのシートや、一本の筋のどこから来たか)
材料がそろえば、あとは売上の計画、損益の計画(売上から費用を引いて、利益を見る)、資金繰りの計画(手元のお金の出入り)へと積み上げます。計算の手順は「事業計画書を作る」、必要なお金の集め方は「融資・資金調達」で説明しています。
記入例: 開業前の〇〇整体院の、売上の材料
院長は、月の売上を「6,000円 × 1日のお客さん × 24日」と置きました(架空の例)。
- 客単価と根拠: 1回60分 6,000円(第5回の下限の約5,100円より上で、近くの整体院と同じ。第6回の試しでも、この値段で12人が受けた)
- 日数: 月24日(平日と土曜。日曜と祝日は休み)
- 客数と根拠: 第6回の試しでは、平日の夜だけで4週間に12人(週に3人ほど)が受けた。開業後は昼と土曜も受け付けるが、まだ知られていないので、10年勤めた店での経験もふまえ、1〜3か月目は1日2人と控えめに置いた。口コミが増えてくる4か月目から3人、7か月目から4人とした
| 時期 | 1日のお客さん | 月の売上 |
|---|---|---|
| 1〜3か月目 | 2人 | 28.8万円 |
| 4〜6か月目 | 3人 | 43.2万円 |
| 7か月目から | 4人 | 57.6万円 |
1年目の売上は、合わせて約562万円の見込みです。この売上に、第5回で整理した毎月の費用と、開業にかかるお金の見積もりを合わせて、第8回で、創業計画書の「事業の見通し」と「必要な資金と調達方法」を書きます。
著者の実例: このサイトの場合
ここからは、著者が、このサイトの事業で筋の5つの文を書いた実例です(今は休止しているツールを前提にした計画です)。文中の「一本線サマリー」は筋の5つの文、「提供価値」は届ける価値、「一気通貫」は最初から最後まで途切れずにつながること、「段階型」は無料から始め、先へ進む人にだけ料金をいただく形、「公庫融資」は日本政策金融公庫の融資、「言葉パート」は数字の前の、言葉で書く部分のことです。
書き出してみよう
あなたの計画の、筋と数字の材料
- シートA(まとめの表): 第1〜6回の結果を1行ずつ。空いている行は、その回に戻る
- シートB(筋の5つの文): 顧客の困りごと、競合の弱み、自社の強み、届ける価値、値段を、1〜2文ずつ
- シートC(数字の引き継ぎメモ): 客単価、客数、日数(回数)と、それぞれの根拠
記入例は、上の院長のまとめの表、5つの文、売上の材料です。
次のステップ
第8回(最終回)では、ここまでのシートと数字を、日本政策金融公庫の創業計画書に書き写します(「第8回 公庫の創業計画書に落とし込む」)。
